
武道というのは、かつては「武術」と言われていました。
武道の名が付くようになったのはごく最近のことであり、本来は攻撃してきた敵の息の根を瞬時に止めるための「殺法」でした。
まさに命のやり取りが繰り広げられますので、一瞬の判断ミスが命取りです。
相手に攻撃のチャンスを与えてしまったら、一貫の終わり。
そのやり取りの中で大事なのは何だと思いますか?
筋力?技術?
もちろんそれも必要でしょうが、そこは核心ではありません。
「相手の攻撃を無力化すること」
ここが極意です。
その時に必要なのは、戦略であり、相手の意識の「未来予測」が出来るかが重要です。
つまり大事なのは意識であり、筋力やテクニック関係がないため、「力の弱い高齢の武道の達人が、大男を投げ飛ばす」ということも起こりうるのです。
相手が一つの攻撃をしてくれば、
こちらは五つ、六つとたくさんの準備をして
さっとその場で、その人に応じた動きを取る。
その時、その相手としか生まれない動き。これが武術の動きです。
相手に合わせた動きをするからこそ、
相手の攻撃を無力化させることが出来ます。
自分勝手な動きではうまくいかない。
そういう感性を養う学びが、武術のなかには存在しています。
(嶋立歩美)